11. 家族が増える。
韓国での新婚生活はいろいろありながらもとても楽しいものでした。
オッパは就職が決まらず、半年間エンジニアになるための教育を受けていました。
私は大学院関係や友人からの紹介で日本語講師として充実した毎日を送っていました。
私はオッパに自分ができるだけの事をしました。
毎日片道1時間かけて研修所のある駅までオッパを迎えに行き、帰りに2人でトッポッギやパピンス(韓国式かき氷)を食べたりしました。
それはまるでドラマの様でした。
2年くらい経ち、私達夫婦に子供ができました。オッパは仕事もお金もありませんでしたが、私は彼の人間性を尊敬していました。
それまで彼はいつでも自分より私を優先してくれていました。
なので私は私たちに子供ができれば彼はどれほど良い夫、父になってくれるだろうか…
考えただけでもワクワクしていました。
私は今でもあの時の事を鮮明に覚えています。
オッパ「ただいま。あーあ、犬飼いたいな~ 犬、飼おうか?」
私 「犬、飼わなくて良くなったよ」
オッパ 「ん?」
私 「赤ちゃんができたよ」
私は韓国ドラマのようなそんな一面を思い描いていました。
オッパ 「はぁ…」
私 「えっ?! それだけ…?」
オッパ 「そう…」
私 「え? 嬉しくないの??」
オッパ 「そんな事はないよ…」
韓国ドラマならこの時点で旦那から「ありがとう」を連発され、ハグされてくるくる回っているはずでした…
実際は......
私の頭の中がくるくる回っていました。
現実はドラマのようにはいかない事を痛感しながら、その頃ぐらいからオッパに対する尊敬の念に影が差し始めるのでした。